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高品質なスプロケットでワンランク上のドライビングを!
国産メーカーISAがカート用スプロケットに参入

Photo&Text:本誌・藤原浩 取材協力:(株)アイ・エス・エー(ISA)/(株)菅生カート事業部

エンジンのシリンダー内で生み出された往復運動は、クランクケース内で回転運動へと変換され、その回転がリアシャフトを通じてリアタイヤを動かし駆動力を得る。簡単に言えば、カートはこうして動いている。 このとき、回転力をリアシャフト(タイヤ)へと伝える経路で重要な役割を果たしているのが、いわゆる駆動系といわれるチェーンとスプロケットだ。

この駆動系では、これまではどちらかというとチェーンに注目が集まってきた。いわく「シールチェーンが…」「Oリングチェーンが…」「チェーンルブは○○タイプがいい」といった具合だ。

その一方、なかなか目を向けられなかったのが、スプロケットだろう。これには、エンジン側のドライブスプロケットが、メーカー純正に指定されていること、交換できるのがドリブンスプロケット(リア)しかない、ということも影響しているだろう。

スプロケットといえば、交換時期だけに注目が集まり、スプロケット自体の性能にはあまり目が向けられてこなかったのではないか。

そのスプロケット市場に、新たに参入してくる企業がある。それが国内メーカーの株式会社アイ・エス・エー(ISA)だ。

このメーカー、じつはモーターサイクルレース界では、かなり有名なメーカーで、国内主要メーカーがロードレース、モトクロス、トライアルなどの各カテゴリー、各種目におけるトップレベルのレースで、ISA製スプロケットを採用し、レース活動を行っていることからも、その信頼度の高さが窺える。

ISA自体は、10年以上前にもカート用スプロケットへの進出を検討したことがあったという。しかし、当時は為替等の関係もあり輸入品が安く販売され、国内製造では素材などのコスト面からも対抗することが難しく、また品質では従来品を上回る製品を送り出す自信は持っていたものの、モーターサイクル用の製造等で多忙だったこともあり、参入を見送ったという。

それから月日が流れ、今回カート用への参入を決めたのは、もともとはモトクロスの会場で、あるオイルメーカー担当から「カート用のスプロケットでいいものがないから作って欲しい」と言われたことがきっかけだという。ほぼ時期を同じくして、ヤマハからも関係者を通じて同様の打診があり、それならばしっかりとテストをしていい製品を作ろうと、ヤマハを通じてテストを実施。 テストでは、チェーンルブをあえて塗布せずに走行するなど、過酷な条件下での実走行を行い、従来品を大きく上回る結果を得たという。

また参入にあたっては、販路開発等のいわゆる営業活動に関する一切を菅生専売とすることで解決し、製品づくりに集中できる環境を整えたことも、参入の大きなきっかけになったようだ。

さて、気になるのがスプロケットに求められる性能とは? ということだ。ともすれば、回転を伝えてくれればいいと軽んじられがちなスプロケットだが、そこに優劣はあるのだろうか。ISA代表の伊佐貴志氏はスプロケットの制度に関してこう説明する。
「スプロケットの精度とはなにか。それは内径と取り付けピッチ、そして歯底円直径がどれだけ同心円上にあるかということ。これが揃っていればいるほど、偏芯せず回転します。あとは、スプロケット自体の反りです。海外製品の場合、定盤に載せると2mmくらい反っているものがありますが、それでは回転中もぶれてしまい、トラブルを誘発してしまう。言ってしまえば、この2点が全てでそれ以外はなにもないです」
この精度に関してISAは大きな自身と自負をもっている。それは、これまでオートバイ用のスプロケットを種々製造してきたことにより蓄えられたノウハウ、素材への知識、工作精度などに支えられたものだ。 もちろん、これはカート用スプロケットでも従来品を大きく凌ぐ精度、耐摩耗性などを実現している。

今回のカート用スプロケット参入にあたっても、安く使い捨てのパーツではなく、多少高価であっても高性能で長期に渡って使用できる商品をリリースするとしている。そのため、ま従来の海外製品に比べるとやや割高にはなるという。しかし、その高い精度、品質はもちろん、交換サイクル等を考えれば、決して高い製品とはならない。

製品ラインナップ等は、SL全国大会の会場で展示され、実際に手にすることもできる。実際に製品を手にとって観察し、また使用することで、そのこだわりと性能を実感してほしい。

【ISAカート用スプロケットサイズラインナップ(予定)】
■215チェーン用:83〜93T
■219チェーン用:68〜85T
※今後、サイズ展開が増える可能性もあり。
■価格:各サイズ・8,000円(税別) 



製品については
ヤマハカート公式HP https://www.yamaha-motor.co.jp/kart/
製造元:株式会社アイ・エス・エー http://www.isa-sprocket.com


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▲最も中心に近い円が内径、ハブに取り付けるボルト穴が取り付けピッチ。スプロケットの歯の根元部分が歯底円となり、こららが同心円となっていることが重視される 
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▲実際の製品はSL全国大会会場で一般へのお披露目となり、実物を手に取ってみることができる
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来季はこのロゴを貼って走るドライバーも多くなるのではないか

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