Photo&Text:本誌・藤原浩 取材協力:(株)トライボジャパン/(株)アンソリッド
KTエンジンカテゴリーに訪れた
13年ぶりのオイル選択自由化
今季はSLカートミーティングに代表されるKTエンジンカテゴリーの大きな変革年となっている。と言うのも、これまでKTエンジンはワコーズ製のフォーミュラKT2CRが指定オイルとされてきた。それが大きく動いたのが昨年7月のことで、SLレギュレーションを管轄するSLOより、使用可能オイルが「CIK公認またはSLO認定オイル」へ変更されるとアナウンスされたのだ。
これはいわばオイルの自由化と言っていいだろう。 これまで13年に渡って指定オイル制を続けてきたKTエンジンだけに、これまで多くのユーザーはフォーミュラKT2CRしか使ったことがないはず。
そこに訪れた今回のオイル自由化を機に、ぜひ試してほしいとアピールするのが、国産オイルとしてCIKに公認されている3ブランドのうちの一つ、RAGNO(ラグノ)だ。 これを手掛けるのは、F1やスーパーGTを始め、国内外のレースで活躍、またカートチームの監督や運営も手掛けてきた井出有治氏。
もともとRAGNOはトップカテゴリーの使用を想定しており、はじめからCIK公認取得を目指して開発されたという。そのため、KTはもちろんのこと、OKやX30でのテストも積み重ねており、'17年にCIK公認を取得後、これまで多くのチームに採用されている実績を持つ。
そんなRAGNOの特徴のひとつが、細やかな仕様変更を続けている、ということ。そもそもCIKのオイル公認サイクルは、他マテリアルとは異なり毎年行われる。そのため、RAGNOも絶え間ない開発とモディファイを繰り返してきたわけだ。 こうして常にブラッシュアップを重ねることで、エンジンをしっかりと守るオイルとしての評価も高まり、KTエンジンではメンテナンスサイクルに関してもむしろ長く設定できると捉えられている。
オイル自由化がリリースされた昨夏、中村仁をドライバーに4日間の集中テストも実施された。ローリングスタートのシミュレーションにおいては低速からの加速部分も徹底確認しており、安心してKTユーザーに使ってもらえると評価を得たという。
なお、オイルをRAGNOに変更するにあたり、とくに使い方に難しいことはない。まずは比較してみようかな…ぐらいの気軽な意図でトライしてほしい。メーカー側はそのうえでも、RAGNOを選択してもらえるという自信を持って送り出しているとのこと。
'17年の製品リリース前には10時間耐久テスト等も行い、高い耐久性を確認するなど、現場と一体となって開発が進められているRAGNO。小回りのきくメーカーだからこその柔軟で即応性の高い開発によって、より良い製品へ進化している。
なお、開発に関するスタッフ陣のインタビュー等、より詳細な内容についてはジャパンカート春号で特集しているので、ぜひそちらも参照にしてほしい。