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JK Interview
Rok Shifterに参戦するプロドライバー
松田次生×松下信治 スペシャルインタビュー


Photo&Text:本誌・藤原浩

プロドライバーがカートレースに参戦する理由とは?
Rok Shifterの魅力とは?


昨年から、準レギュラーとしてGPR Rok CUP JAPANに参戦し、勝利を重ねている松下信治。今季は、前半4レースで2勝をマークし、ランキングトップにつけている。
一方、昨年からSNSなどでシフターでトレーニングする姿を発信し、参戦が期待されていた松田次生。
GPR鈴鹿大会では、この二人のスーパーGTドライバーがついに相まみえることとなり、決戦を翌日に控えた土曜日、インタビューの時間をとってもらった。
プロドライバーがカートレースに参戦する意義とは、また「なぜRok」なのか。

■松田選手は、最初はトレーニングの一環としてシフターに乗ってみたということですが。
松田:そうですね、トレーニングで乗ってみて、鈴鹿シリーズでも開催されているとは聞いていました。GPRでもシリーズがあることを聞いていて、そういうレースがあるのなら出てみたいなと思ったし、ノブも出ているしケイ・コッツォーリーノ選手も出ていて、色々聞くとトレーニングにもなるし。
ノブはSFも乗ってましたけど、やっぱりGTの場合だと乗る時間が限られるんですね。トレーニングという意味では、ただスポーツ走行で走るよりは、レースに出たほうがメンタルなどもいい勉強になるのかな、と。

■トレーニングとして御殿場のGTカート部ではKFエンジン+ハイグリップタイヤで走っていらっしゃいますけど、それとシフターではまた違った加速感とかを求めているからですか?
松田:それもあるのですが、GTカート部の場合はみんなウェイトがバラバラで、絶対に軽い人が勝つんです(笑)
僕が一番、体重重くてシフターでいま、ノーウェイトで2kgか1.5kgくらいオーバーなので、乗れるカートとなると、これしかないというのが正直なところです。

■いま、月の頻度としてはどれくらいの頻度で乗られているのですか。
松田:1月に鈴鹿で走って、それ以来、鈴鹿の走行日がずっと土日だったので走れず、前回のGPRのテストが1月以来、久々でした。だいぶ空いちゃって、体力戻すのがいっぱいいっぱい。いまも、ちょっと首に来ていますよ(笑)

■松下選手は去年から参戦されて1シーズン半経過しましたが、いかがですか。
松下:そもそも始めたのが、予選前、決勝前って緊張するじゃないですか。テストでは感じない緊張感がヘルメットの中ではあって、アスリートが試合でしか感じない緊張感をもっと味わいたいというのが一つ。
あとは体力。一番きついのがシフターなので。やっぱり若い子もいるので、負けられないプライドもあるので頑張るわけです。すると、発見もあるんです。自分がジュニアの頃、全然気づかなかっことに、いま気づくこともあって、そういったことって本業でも新しいルーキーの子が来て気付かされることがあるんです。カートでも4輪でも同じことがあるのは勉強になります。

■お二人ともトレーニングと言う意味では、ジムで筋トレやランニングなどのジムワークで高める体力と、実際にクルマに乗って体を動かして能力を高めていくのは、違う要素ですか。
松田:違いますね。トレーニングって身体だけでやってますけど、目と反応、運転している感覚は乗っていないとトレーニングできないので。
シミュレーターでも、またちょっと違うんです。シミュレーターはどれだけでも乗れてしまうのですが、カートを使ってレースの緊張感ってレースでしか味わえない緊張感なので。シミュレーターのレースってぶつかってももう1回、リセットしてということもあるんですけど、結構カートの場合は僕なんかも自腹で払っているんで(笑) 一所懸命頑張らないと無駄になってしまうので、僕らも真剣にやってます。

■松下選手は去年から出ていて、若い選手も見てきていますが、彼らを見て何を感じていますか。
松下:偏見はなしに、意外と悪くないなと思いました。現役の頃のほうが速いに決まっているんですけど、そういった子達と肩を並べていられる。
厳しい言い方をすれば、いまのカートのレベルが、10年、15年前に比べてどうなのかな、とは正直思うところはあります。
自分も、頑張ってやっと肩を並べている、手を抜いているわけではないですし、自分のエクストラなパワーを見つけなければならないので、そういった努力は大事かなとも思います。

■いま、乗っているのはレースウィークだけですか 。
松下:そうです。テストは乗ってないです、お金かかるので(笑)次生さんも言ってましたけど、いまのカートは高い、いままでは親がいてスポンサーさんがいてってやってもらっていましたけど、自分でやったら……。
さっきも話したんですけど「シャフトがない」ってなって「5万もするなぁ、もしかしたらレース使わないし」、なんて話もしていて大変ですよ(笑)
松田:ほんと、大変。

■逆に言うと、その分レースウィークには集中してパフォーマンスを上げていく努力をされてる。
松下:そうです。
松田:こっち(松下選手)はデータがたくさんあるのでいいと思うので、僕はデータが全くないので、一から組み立てていくのに、今日もいろいろ聞いて、いろいろ考えてますね。予算面も大変だし。
タイヤも今回は5セットって決めて、その予算だけはつけたんですけど、シャフトとかってまた別なので、レース前にエンジンオーバーホールもしたし。
でも、さっきノブも言ったようにいろいろ発見がある。いまのカートは、どういったセットアップをするのか、昔とは全く考え方が違う。あとは若い子もたくさん走っていて、OKと掛け持ちの子もいるし、現役カーターと一緒に走れる、近いタイムで走れるのは、今年45歳ですけどまだ引退しなくても大丈夫だなって、ちょっとホッとするところですね。

■ちなみに、今回は何年ぶりに本格的なカートレースへの参戦ですか?
松田:全日本に出ていたのが18歳くらいまでで、それ以外でちゃんとしたカートレースって記憶にない感じです。レンタルカートとかはあっても、上のクラスは18歳の頃以来なので20数年経ってますね。ウェットタイヤを昨日見たときも「こんなにウェットのパターンかっこいいんだ」って。それくらい、ウェットの走り方も大丈夫かなという不安はあったんですけど、それなりに乗れてホッとしています。

■金曜日がウェット、土曜日ドライと走ってみて、日曜日への手応えはいかがですか。
松田:勝つのは正直難しいかな。コンマ2秒がどうしても詰まらないので、最後の2セッションでなにかドライビングを発見して…。
まだドライビングも現役カーターと走ると最終コーナーのラインとか全く違うので、そこを修正してコンマ1以内に行ければいい戦いができるけど、ちょっとまだ勝てる感じはしないですね。

■シフターの場合、スタートを決めるといい位置でレースが進められますが。
松田:(クラッチ操作が)足なら自信あるんですけど、ハンドクラッチは難しい。何回かやってるんですけど、決まっているかどうかもわからないんですね、レースをしたことがないから。自分が「結構決まったな」と思っても、実際にみんながどんなスタートをするかわからない。それは日曜日の第1レースを基準にうまいか下手かを作るしかないかな。

■松下選手は2勝を挙げランキングトップで今大会を迎えています。今週末の意気込みは。
松下:いつも予選で鈴木悠太選手や井出七星翔選手らに前に行かれてしまっているので、まずはそこで勝ちたいな、と。
レースはすごく自信があって、体力もそうだし、タイヤに対するセンサーの経験値もあるので、そこは自信があるので予選で前に行きたいですね。
予選で前に行っても、スタート下手なんで抜かれるけど(笑)

■EVの時並みのスーパースタートを。
松下:あれは、ズル(笑)
でも若い子がチームにもいるんですけど、僕が若い頃より遥かに頭がいいですよ。ただ逆に言うと頭でっかち、考えすぎてパッションとか気合みたいなの、そういった点は僕らの頃のほうがあったのかなって思います。

■今季残りのAPG、鈴鹿は出場されるのですか。
松下:多分出ます。

■チャンピオンも狙えますね。
松下:はい、頑張って狙います。
松田:シリーズ獲ったらすごいね。
松下:出費している分、回収しないと(笑)
松田:100万円くらいもらえるんだっけ。
松下:結構でかいですよ。

■改めてお二人にとってのシフターの魅力とは。
松田:カートの車重があるので、4輪にも近いしトレーニングになるのが一番大きいかな。速度もあるので、どんな人が乗ってもカートのF1に乗っているような感じで面白いと思う。僕も、こんなに速いんだってそこからのめり込んだ部分はあります。
OKはもちろん最高峰ですごいんですけど、ちょっと大人になって余裕がある人は、こちらでも絶対にいいし、面白いと思います。
松下:トップスピードは140km/h近く、SFやGTってトップスピードが速いし、速いと人間は視野が狭くなって落ち着きもなくなるし、その状況でいかに落ち着いて対処できるかというのはすごくいいと思う。
あとは単純にOKとかって何もシフトとかないじゃないですか。でも、そのシフトの上手い下手、エンジンブレーキの使い方とかフロントブレーキにバランス変えてとか、頭を使うのでそこで勝負できるかな、若い子に。そこは面白いしいいオモチャです、お金かかるけど(笑)
希望としてはGTとかに出ている選手たちにもう少し出てほしいなぁ。
松田:ずっと言われてました。
松下:次生さん出てくれて、嬉しいです。
松田:有言実行しようって。

■4輪ドライバーの方々とカートの話しをされる機会もあると思うのですが、周りにレース出てみたいという反応はあるのですか?
松下:ロニー(クインタレッリ)さんくらいかな
松田:ロニーさん、APGでのテストでトップ10に入ったらレースに出るって言ってますよ、OKで。若い選手がたくさんいて30台いる中で無理だって言ってるんですけど(笑)
松下:この間、佐藤蓮がOKに出て優勝したじゃないですか。あれはマジですごいなって。4輪のサーキットにいるときよりも、むっちゃ楽しそうで、生き生きしていて。やっぱり好きなんだなって。




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