初開催MZシニア日本一決定戦!
初代王者は中原蓮人!!
ヤマハが汎用エンジンをカート用にモディファイし、主にレンタルカート用エンジンとして販売してきたMZ200。K−TAIに代表されるスポーツカート耐久の人気の高まりとともにユーザーを増やし、その波がスプリントレースへも波及してきたのは、ここ10年ほどの動きだろうか。
まずはビレルのTIAシャシーにMZエンジンを搭載したTIA+MZクラスが、企画・実施されるとともに、各地でMZエンジンを搭載したスポーツカートでのスプリントレースが開催されるようになり、ついにはSLOの規則書に「MZシニア」「MZカデット」の2クラスの規則が追加される。
こうして、少しずつ広がっていったMZシニアの輪を、さらに大きく広げるきっかけとなったのが、愛知県・石野サーキットがシリーズに正式クラスとして組み込んだことだ。
全国に先駆け、いち早くSLシリーズの1クラスとして取り込んだ石野サーキットでは、立ち上げ当初は格安でのレンタルエンジン、レンタルマシンパッケージを用意し、参戦への敷居を下げて多くの人が参加できる土壌を作っていく。
その後、参戦した選手や実際のレースを見ていたチーム関係者などが独自にレンタル車両を用意するようになって普及に協力。さらには、近隣のコースへとその輪が広がり、レインボースポーツサーキット、琵琶湖スポーツランド、神戸スポーツサーキットなど中部・関西圏のメジャーサーキットで開催されていくようになる。
これらは、一部選手たちの手弁当的な普及活動でもあり、こうした地道な活動によってMZの輪は確実に広がっていった。 カデットでも、ヤマハが「挑4」と称したシリーズを立ち上げると、独自の格安マシンパッケージも用意するなど普及に尽力していく。
そうした機運が高まったことで企画されたのが、今回のMZシニア日本一決定戦。当初はシニアのみの開催とされたが、やはりカデットもということで2クラスでの開催となった。
初回となる今大会には、シニアクラス18台、カデットクラスには5台が参加。ちょうど石野のシリーズ最終戦が2週間前に開催され、また翌週にレインボーのシリーズ最終戦も控えていることもあってか、参加はやや少なくなったが、その分、日本一を目指した強者達が集まったともいえる。日本一決定戦と銘打つだけあり、シニアクラスの予選は4クラスに分けての総当たり戦を採用。真の強者が勝ち残るシステムだ。
レースはMZシニア、MZシニアカデットともに高バトルを連発。MZシニアカデットでは、水野佑哉、馬場弥任、小俣琉が終始接近戦を展開し、誰が勝つか目が離せないレースとなる。終盤は水野と馬場の一騎打ちとなり、わずかに先行した水野が優勝を飾った。
メインとなるMZシニア。予選を終え、決勝の前方グリッドは全員が優勝経験を持つドライバーたちだ。もともとマシン差も少なく混戦となることが多いMZシニアは今回も大混戦だった。
中原蓮人、山口裕史、大井偉史らが接近戦を展開。 終盤、ポジション争いの際に6コーナーでインに飛び込んだ大井が縁石に乗り上げ山田と接触すると両者ともバランスを崩し、その間に中原が一歩抜け出した。
結局、この差が最後まで響き、中原が逃げ切って日本一を獲得。大井は2番手フィニッシュだったがペナルティで降格し、2位に山田、3位はRINZOHとなった。
今回、初開催となったMZシニア日本一決定戦。まだ大きな認知度もないことも影響し、参加は決して多くはなかったが、まずは開催することで「来年はこのレースを目指そう」というドライバーも現れるはず。関東近郊でもMZのレースを行うコースがあるので、そういったコースからの遠征組も出てくれば、徐々に大会規模が大きくなり盛り上がっていくだろう。そんなことを期待させる大会だった。
▲激戦を制しMZシニアを制した中原蓮人。賞金10万円も獲得!
▲MZカデットはチームメイトとの激戦に競り勝った水野佑哉が優勝