世界のモータースポーツを統括している国際自動車連盟(FIA)は、ポルトガルで開催されたFIA Karting Academy Trophy開幕戦において、全てのカートに初めて衝撃データレコーダー(IDR)を搭載し、カートの安全性に大きな前進を見たことを発表した。
このレコーダーは2024年に発表されたもので、衝撃Gなどの主要指標を記録する低価格のデータレコーダーとなっている。
IDRは高価格のデータレコーダーを導入しにくいローカルレベルのカテゴリーを主なターゲット層としている。全長6cm・重量わずか12gという小型サイズで、カートに搭載されるFIA開発の自己データ記録装置としては初の製品だという。専用ソフトウェアと組み合わせることで、事故の性質と頻度に関するこれまでにない洞察を提供し、安全インフラを継続的に適応・改善していくことを可能とする。
収集されたデータは、FIAのみならず、あらゆるレベルのカートイベント主催者に、サーキットレイアウトからバリアの配置、安全装置の改良に至るまで、次世代の統合安全システムの構築に役立つデータを提供し、大きな変革をもたらす可能性を秘めている。今季は、アカデミートロフィー全戦でカートに搭載される予定で、2026年以降は国際レベルおよび国内レベルでの普及を進めていくという。
FIA安全担当ディレクターのヌーノ・コスタ氏は「カートへのインパクト・データ・レコーダーの初導入は、実に成功でした。カートは参加者が多い競技ですが、これまでは実世界のデータを活用できる機会があまりありませんでした。IDRがより広く導入されるにつれ、当初はFIA、そして近い将来にはASN(各国統括団体)によって収集されるデータは、全般的な安全基準の向上に大きな可能性を秘めています」と語る。
また国際カート委員会(CIK)のアクバル・エブラヒム会長は次のように語る。
「FIAがIDRを発表した時、カート界に全く新しいデータソースを提供できる可能性に、私たちはすぐに大きな期待を抱きました。最初の導入が成功したことを嬉しく思います。ASNと主催者の皆様には、各国の選手権でIDRをどのように導入できるか検討していただければ幸いです。コース上で発生するクラッシュについて理解を深めるほど、将来的にリスクを軽減し、競技者を守るための準備をより良く整えることができます」