国際自動車連盟(FIA) では、2024年FIA総会を前に、カートレース全体に渡る、より明確でアクセスしやすい道筋を確立させる前例のないグローバルカートシステム計画の策定を発表した。
今後3年間に段階的に実施し、まずがArrive and Driveによるワールドカップの初回開催や、カート・エクセレンス・センターのセレクションなどが開始される。
計画の骨子となる3つのプランは
1)ANSレベルの成長と成果の評価。
2)カート・エクセレント・センターの創設。
3)既存のステップ経路を補完するためのArrive and Drive方式の拡充。
とされている。
まずASNレベルの成長では、地域レベルでの活動を展開するための枠組みとツールを提供することに重点を置いている。その中心として「FIAカート・タスクフォース」を創設し、毎年大陸ごとに3〜5つのASNを訪問し、サポートしていく。 またナショナル・カート・ランキング(NKR)は急速に成長し、2024年には1000人以上のドライバーが登録してるが、このシステムに参加しているASNにFIA会長メダルが授与されることとなり、より強化を図るという。NKRシステムと国内カートとの間に不可欠なリンクを生み出し、国際レースなどに参加できないドライバーに対しても、国際的な評価を高めることとなる。NKRシステムに参加するASNには最大3つのメダルが授与され、優勝者にはFIAカート・グローバルプランのもう一つの重要な要素に進む道が保証される。
その重要な要素とされるのが「カート・エクセレンス・センター」の設立だ。このセンターでは、競争の激しいレースで成功できるように、ドライバーの運転技術、身体的、精神的発達を中心とした基本的なスキルを教える1週間のプログラムが提供される。さらに、若いドライバーが長期的な成長を遂げられるように、毎年選考が行われ、評価されたジュニアドライバーはカートレースへの経済的サポート、シニアドライバーにはFIA-F4に進むための経済的サポートが与えられる。
最後の柱となるArrive and Drive。これは、現在アカデミーでも実施されているように、カートマテリアルを主催者が用意し、ドライバーは現地へ赴きドライブするのみとなるもの。ASN、プロモーター、さらには国際レベルでの導入も検討され、ワンメイクカートが用意される。
この路線の充実により、従前のマシンセッティングも含めたすべてを楽しむ層と、機械側には関与することのない、ドライビング集中型の層それぞれにレース参戦への機会が平等に用意されることとなる。早くも、2025年にはArrive and Driveでのワールドカップの開催も予定されている。
今回のグローバル・カート・プランに対し、FIA会長のモハメド・ベン・スライエム氏は「カートはすべてのモータースポーツの将来において極めて重要だ。現在の世界選手権では、すべての選手がいわばエリートコースをたどってきた選手で、草の根の選手たちは少ない。我々は、真に世界的な計画を持って、モータースポーツにおける多様性と平等を確保し、アクセスしやすい機会を増やしていくことに取り組んでいく」と語り、カート委員会のアクバル・エブラヒム会長は「モータースポーツのピラミッドにおけるカートの重要性は、その将来まで確保しなければならない。このグローバル・カート・プランを立ち上げられたことを嬉しく思っている。すでに整備されている強力な基盤をさらに発展させ、経済的障壁を排除し、世界中で参加者を拡大させていきたい。モータースポーツの裾野を広げ、新しい才能を迎え入れることに専念している」と語っている。