年々人気を高めているeスポーツ。レース、格闘、球技など様々な種目で行われ、世界大会なども賑わっている。特にモータースポーツの場合、カートといえどもイニシャルコストが年々高騰している現状もあり、なかなか手が出しにくい状況となっている。そういった層が、まずモータースポーツに触れるアイテムとしてeスポーツがあり、全国でシミュレータショップなどが展開されている。
そうした層から才能を見出し、リアルな世界へと導くべく開催されたのが、TGRが手掛けるe-Motorsports・チャレンジリーグだ。
TGRでは、これまでにもe-Motorsportsとして17歳以下のU17レースなどを行ってきたが、この企画はそれを発展させたもので、昨年の12月にスタート。まずは、オンラインでの予選(タイムアタック)を開催し、そこから選ばれた12名が今回の決勝大会へと進出した。
予選には2300名が参加。その中の12人という狭き門を通過してきた選手によって、決勝が行われたのだ。
今回もっとも特徴的な点は、バーチャルとリアルを繋ぐため、優勝者にはSLカート活動のサポートが与えられるというもの。しかも、いわゆるこれまでの多くのスカラシップのように、レース参戦をサポートという形ではなく、マシンはもちろん、消耗品やメカニックサポート、運搬費用などカート活動にかかるランニングコストの大半をサポートするというもの。これはトヨタだけではなく、この企画に賛同・サポートする8社が共同で支援し、これまでに例のない規模のサポート内容となっている。
決勝である今大会に進出したのは小学5年生から中学3年生までで以下の8人となる。
石野弘貴(中学3年生)
石水可夢偉(中学2年生)
岡田琥博(中学2年生)
加藤 薫(中学3年生)
兼田麗生(小学5年生)
木島虎太郎(中学2年生)
佐藤光羽(中学2年生)
澁谷裕夢(中学2年生)
島地虹成(中学2年生)
戸谷 周(中学2年生)
濵松奏月(中学2年生)
平山由磨(中学2年生)
決勝ではこの12人を6人ずつのグループに分け、まずは予選のタイムアタック&レースを行い、上位3名ずつが決勝レースへ進出。再び予選、決勝を行い日本一を決する。予選、決勝で使用する車両、コースは決勝大会当日のそれぞれのレース前に発表されるため、選手たちは事前に練習することができず、慣れないマシン、コースへの対応力が試されることとなる。
予選から勝ち残り、決勝へと進んだのはA組から石野・佐藤・兼田、B組からは木島・加藤・岡田となった。決勝では、タイヤもソフトとミディアムの2種類を使用しなければならない縛りがあり、17周の決勝で1度はタイヤ交換のためのピットストップが必要となる。そのタイイングをいつにするかといったこともドライバー自身の判断となる。
レースは、石野がスタートから順調に後続を引き離していき、十分なマージンを築いてからピットイン。復帰後もトップを走り続け、独走で優勝。初代チャンピオンに輝いた。
優勝した石野は、昨年からカートも始めたといい
「リアルドライバーを目指すうえで、素晴らしいプログラムだったと思います。その中、初代のチャンピオンとして2025年のSLカート活動サポートをしていただけることがすごく嬉しいです。23年まではeスポーツ一筋で、24年からはリアルとバーチャルの二刀流で活動していました。初代チャンピオンとして活動するからには、SLレースでもチャンピオンを獲れたらいいなと思っています。ドライバーをやるからにはF1を目標としていますが、世界耐久(WEC)にも参戦してみたいとは思っています」と意気込みを語っている。
本誌でも、今回のフルサポートを得た石野のSLカート活動を定期的にレポートしていく予定だ。